こんにちは。坂口丈史です。

今回も選手のコンディション管理について、前回の記事の続編として書いていきたいと思います。

今回の内容は私が実践しているRPEを用いたモニタリングについてお伝えします。

 

『RPEを用いたモニタリング』

 

RPEとは主観的運動強度のことです。主観的運動強度とはある運動に対して、その人が主観的に感じるキツさを示したものです。RPEの尺度には0から10段階のBorgスケールに基づいたRPEを使用しています。

 

セッション終了後に選手に「今のワークアウトはどの程度きつかったか」という簡単な質問を行い、選手はそれに対してRPEのスケールの数値を使ってセッションの強度を表します。

 

以前、久保さんが記事のテーマとして主観的運動強度について取り上げていらっしゃいました。そちらの記事も合わせて御覧ください。「主観的運動強度を考える」

 

私のチームでは練習、ウエイト、フィットネス、スピード&アジリティの4つのセッションで全選手のRPEを記録しています。

 

私たちコーチが処方しているプログラムを選手がどの程度の強度として感じているのかが数値化されるので、コーチのプログラム作成の質を向上させることにも繋がっています。

私の経験としても、そこまできつくないだろうと予想して処方したプログラムが、意外と選手はきつく感じていたということがありました。

RPEのデータはエクセル上で管理しており、コーチも閲覧できるようにしています。

私たちコーチが狙った強度で選手がトレーニングを行えているのかを知るためにも重要な取り組みです。

 

補足ですが、RPEによって1回のセッション全体の強度を記録しているのでパワーリフティングでおなじみのRPEとは少し使い方が違います。

 

※8以上は赤で表示されるように設定している

 

 

『RPEを用いたトレーニング負荷の算出』

 

各セッションで記録されたRPEを用いて練習やトレーニングの負荷を定量化しています。

 

トレーニング負荷を定量化する方法ですが、練習時間とRPEの積によって算出できます。これはセッションRPEと言われる手法で、簡易的にトレーニング負荷を定量化できる方法として多くの競技で使用されています。
例えばウエイトのセッションが60分、RPEが7の場合のセッションの負荷は7×60=420となります。さらに同じ日に120分でRPEが5の練習があった場合は5×120=600となり、その日1日の合計負荷は420+600=1020となります。

 

各選手のRPEから1日の合計負荷はもちろん、1週間の合計負荷も算出できます。日々の負荷の変化を見ることでわかることもありますが、週毎の負荷の変化や、月毎の変化を見ることで違った発見もあります。

 

 

 

『メリット』

 

チームスポーツでトレーニング負荷のモニタリングを取り入れるメリットとして、選手一人ひとりのトレーニング負荷をモニターできることが挙げられます。

トレーニング負荷の不適切な増加と不十分な回復は怪我やオーバートレーニングのリスクを高めます。チームで似通った練習やトレーニングを行っているにも関わらず、受けるストレスが他の選手よりも大きい(高いトレーニング負荷を記録)選手もおり、その場合、その選手は怪我のリスクが高くなります。

そういった選手を把握し、対策を講じることができるのが一番のメリットです。

 

 

また、チーム全体でトレーニング負荷に対しての共通の認識を持つことで、ピリオダイゼーション戦略の質を高めることにも繋がります。

今まで感覚だけに頼っていたトレーニング負荷の調整に、数値による裏付けがプラスされることによって、より精度の高い取り組みができると思います。

モニタリングによって得られた情報をもとに、チーム全体で協力して戦略的にピリオダイゼーションを組むことで、トレーニング効果を高めつつ、怪我のリスクを抑えながら試合に向けてベストなコンディションを作っていくことが可能となります。

 

 

更に、アスリート自身がRPEのモニタリングを実施することで、コンディションの変化を振り返ることができます。

以前、調子が良かった時はどんな過ごし方をしていたのか参考にすることもできますし、逆にコンディションを落とした時は過去のデータから原因を推測し、効果的な改善策を講じることもできます。

 

 

また個人競技の選手のように自ら練習スケジュールを立てている選手は、自身のコンディション管理の一環として役立つと思います。

トレーニング効果を高めるためには、単にトレーニング負荷を増加させるだけでなく、トレーニングがきつい日と軽い日のメリハリのついたトレーニングを実行することが大切です。

トレーニング強度やボリュームの調整は私たち専門家でも頭を悩ませる部分なので、RPEを用いることによって自分なりの調整方法を見つける手助けになると思います。

 

 

『まとめ』

 

今回は私が実践しているRPEのモニタリングについてご紹介しました。

RPEを用いることによってチームスポーツのような大人数のコンディション管理が可能となります。

また、個人競技の選手にとっても自らのコンディションを振り返ることでパフォーマンンスアップのための新たな発見や気づきに繋がります。

数字から全てのことがわかるわけではありませんが、使い方次第ではパフォーマンスを高める取り組みになると思いますので、ぜひ取り入れてみてください。