皆様、初めまして。
この度Strength Geniusにてコラムを執筆させて頂くことになりました坂口丈史(サカグチタケシ)と申します。
現在は関西でストレングス&コンディショニングコーチとして活動しております。主な指導競技はラグビーとアメリカンフットボールです。高校、大学、社会人と広い年代のチーム指導をメインに活動しておりますので、各現場で実際に行っている取り組みなどを中心にお伝えしていきたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

 

『コンディション管理の重要性』

 

第1回目となる今回はアスリートのコンディション管理というテーマについて、私が考えていることを中心に書きたいと思います。1回では書き切れないので数シリーズに分けてお伝えしていきます。
団体競技、個人競技に関わらず、多くの選手にとって試合に向けてベストなコンディションを作ることができるかが勝敗に大きく影響します。また日々の練習においても疲労が過度に蓄積することによってオーバートレーニングや怪我を引き起こすことにもつながります。選手のコンディションをできる限り正確に把握して、日々の練習やトレーニングを適切にマネジメントしていくことが重要になります。

 

私達のようにスポーツ現場、特にチームスポーツに携わるストレングス&コンディショニングコーチ(以下、S&Cコーチ)にとってコンディション管理はとても重要な仕事です。私が所属するチームでも、S&Cコーチがヘッドコーチ(監督)と共に年間の練習計画から日々の練習強度や量(時間)まで決めています。

 

また何らかの原因でコンディション不良の選手がいる場合は、メディカルスタッフと話し合い、必要に応じてその選手だけ練習を途中で切り上げさせたりもします。この辺に関してはどこまでS&Cコーチが介入するのかは競技やチームにもよりますが、トレーニング指導だけでなく、選手のコンディション管理の仕事も求められます。

 

 

『フィットネス疲労理論によるピーキング』

 

 

試合に向けてベストなコンディションを作るためのアイディアとしてフィットネス-疲労理論というものがあります。

フィットネス-疲労理論とはパフォーマンス発揮の準備性レベルはフィットネスと疲労の2つの要因の合計によって決定されることを説明したものです。

 

トレーニングを行うと上の図のようにフィットネスが向上し(プラスの効果)、同時に疲労も蓄積(マイナスの効果)します。フィットネスとはトレーニングによって高まる体力のことです。

 

その後時間経過に伴い、フィットネスはゆっくり低下していきますが、一方で速やかに疲労の回復が進み、このフィットネスと疲労の差がその時点でのパフォーマンス発揮の準備性、すなわちpreparednessとなります。

 

トレーニング直後はフィットネスも高いレベルですが、その分疲労も蓄積しているのでpreparednessはマイナスとなり、高まったフィットネスが潜在している状態です。

 

ざっくり言うと、長く持続するフィットネスのプラスの効果と短時間で消失する疲労のマイナスの効果を上手くコントロールすることで、パフォーマンス発揮(の準備性)を高めていきます。
試合でベストなコンディションを作るということは、練習やトレーニングを調整し、時には積極的に休養も設けながらpreparednessがプラスの状態を試合に合わせるということです。これがピーキングと呼ばれるものです。

 

 

『負荷と体の反応を読み取る−モニタリング』

 

前の項目でフィットネス-疲労理論について説明しましたが、これはあくまで概念ですので、実際に日々の練習やトレーニングを調整するためにはトレーニングや練習によって与えられた負荷とその負荷に対する体の反応をできる限り正確に把握する必要があります。

 

例えば、今日のトレーニングや練習はどの程度の負荷だったのか、その次の日の体の状態やパワー発揮の数値は前日と比較してどう変化しているか、などを数値化して具体的にしていきます。

 

このように何らかの指標を用いてトレーニングや練習の負荷、選手の体の状態などを把握することをモニタリングと呼びます。モニタリングによって得られた様々な情報をもとに疲労度合いなど選手のコンディションを総合的に判断します。スポーツ現場では様々なツールを用いてモニタリングを行い、そこから得られたデータをもとに日々のトレーニングや練習を調整しています。

 

モニタリングは高価なデバイスが必要な項目もありますが、コストをかけずに実施できる項目も多数あります。

 

またプロや実業団といった競技レベルの高い選手だけが行う特別な取り組みではなく、大学生や高校生、さらには個人競技の選手にとっても日々のコンディション管理に有効なツールになり得ると思います。今回の記事を読んで興味を持たれた方はぜひ参考にして頂ければと思います。

 

次回は私が実際にチームで実施しているモニタリングについてご紹介させて頂きます。