何を当たり前のことを言っているんだ?…と、すぐにでも突っ込まれてしまいそうですが “筋力が必要なのは大前提として” ではなぜ必要なのか、どんな時に重要になってくるのかを掘り下げてみたいと思います。

というのも、先日ベンチプレス界の怪童こと藤本竜希選手とやりとりをしていたのですが、このやりとりが非常に面白かったためこれを記事におこしてみようと思った次第です。

藤本選手ですが、高校生でありながらフルギアベンチプレスは日本人最高重量の370kgを記録し、ノーギアの公式記録も2016年に私と世界大会にいった時点で210kg(当時高校2年生)現在は練習で240kg以上挙上するなど知る人ぞ知る怪物プレッサーです。

彼のことだけでひと記事簡単に書ききれそうですが、それはまた今後の楽しみにとっておこうと思います。

 

※写真は2016年の世界大会の時のものです。藤本選手はここから更にでかくなっています。

 

ー 議論の原点

この話が盛り上がったのは、先日のジャパンクラシックベンチプレス選手権大会がきっかけでした。

今回、私は本職であるS&Cの活動がシーズン真っ只中であり、藤本選手は受験前のため試合には不参加でした。

各選手、非常にコンディションも良さそうで日本記録はかたい…と思いながらネットで観戦していたのですが、やはり試合には魔物が潜んでいるようで…

〝練習で挙がっていた重量が挙がらない〟

という場面を何度か見かけました。

ー 相対的に考えて

藤本選手は現在140kg、私は120kgと国内では大型選手の部類に入ると思うのですが、お互いに認識しているのはサイズの割に弱いということです(国内の各階級の日本記録と比較してという意味です)

国内でも日本記録は74kg級以上は全て200kgオーバーであり、階級的な意味合いでは我々は250kg以上挙上しないと釣り合いません。

私の公式記録が227.5kgですので後20kg以上は伸ばさないといけないことになります。

ですが、自分で言うのも何ですが試合ではほぼ練習以上の記録をとっており、どういったコンディションでもある程度の記録を挙げることができます。ここに筋力は必要なのか?という議論の核があったのです。

ー ホームランを打つのかヒットを打つのか

読みやすいよう少し編集していますが、藤本選手と下記のようなやりとりをしました。

 
木「なんで俺は試合に強いんやろか。」

藤「重量に対して筋力が強いからではないでしょうか?」

木「なるほど。確かにそうかもしれない。」

藤「筋力があることでベンチの軌道が多少ずれても持っていけるんだと思います。言うならストライクゾーンが広いんだと思います。」

木「だから普段多少フォームをいじっても記録がそこまで変わらないのか…」

と、ざっくりですがこんなやりとりをしました。完全に高校生から勉強させてもらってますね。

そりゃそうだなと思ったんですが、60kgの人が200kg持つのと120kgの自分が200kg持つのとでは全く話が違います。

そして、体重が軽い(相対的にみて筋量の少ない)人が同じ200kgを挙上するためには、色々な要素がうまく噛み合わないといけません。ここに技術があるわけなんですが、そう思うと皆さんが挑戦する日本記録はホームラン、そう毎回挙がるものではない(にしても凄すぎる)

かく言う自分は、この200kgがおそらくヒットにあたる試技なんだと思います。つまり、いつでもどこでもそれなりの記録は無難に出せるがホームランを打つ技術はまだない。ということです。

※あくまで技術の話を比喩してみただけですのでご容赦ください

ー あらためて筋力について考える

これはベンチプレスだけではなくスクワットやデッドリフト、その他にも様々な競技に精通することだと思うのですが、筋力があればパフォーマンスの土台をかためることができます。

特にパワーリフティングなど数字を競う種目では、どんな状況でも確実に出せる記録の底上げは必須です。

そして、その上で会心の一撃のような、自身の持っている能力を最大限発揮する試技を磨く必要があると感じました。

ある程度トレーニングを重ね、筋力の下地がしっかりできてから更に記録を伸ばすためには技術に重点を置くことも必要です。しかし、バーベルを握り始めた時点ではしっかりトレーニングをおこなっておくことが、長い目で見たときに財産になりそうです。

あくまで2人のやりとりから感じた内容ではありますが、これらをもっと具体化できるようこれからも取り組んでいきたいと思います。

 

少しマニアックな話になりましたが、パワーリフティングでは3種のみやっていればじゅうぶんという意見と、補助種目もしっかりおこなうべきだという意見があるように感じます。

どちらが良いというわけではなく、自身の状態に合わせてアプローチを変えていくことが、記録を伸ばすためのポイントではないかと思います。