こんにちは。久保です。

暑い日が続きますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

先日、とあるツイートを目にしました。それは、日本中の厳しい部活動などの「シゴき」を特集したもので、泳げない小学生に対して、指導者が水をかけたり、放り投げたり、「もう帰れ!帰ったら弱虫だけどな!」みたいなことを言っている。という動画のツイートでした。

よくよくそのツイートのメンションを探ってみるとわかったのは

①小学生たちが自主参加している

②遠泳は命を落とす危険性があるので、先生たちは生徒たちに対して厳しく接している

③「私の時代では〜」という聞いてもない情報を勝手に過去回廊する人が一定数いる

④小学生たちが自主参加しているとは言っても、そこには必ず両親の同意が必要であることを忘れている人が多い

⑤海(自然)の厳しさとシゴきをうまく結びつけて「だから理不尽なこともおk」って言う論調を展開している人が多い

ということでした。このシゴきのに関する賛否は置いておきまして、このツイートを機に、もう一度「追い込むことを美徳」とする文化を考えてみよう。と思ったのです。

 

追い込むことの意味

例えば、とある選手のトレーニング動画を見ようとして「◯◯ トレーニング」検索ワードと入れると「壮絶な追い込みトレーニング!」とかいう編集動画が上がっているのを目にします。

その選手に憧れている人からすると「かっこいい」「こんなに追い込めるなんて、すばらしい」という目線があるのだと思います。あと、スポーツというのはスポンサー(i.e, 後援者、観客)がいて初めて興行的に成り立つものなので、そういう姿をみんなにみせる、というのは意味があることです。

たしかに、世俗の流行に振り回されず、己の道をひたすらに突っ走ってトレーニングして自らを追い込む姿には心打たれるものがあります。かっこいい、その一言です。

あとは、追い込むとは言っても選手のキャパの範囲で最大限発揮してもらう(e.g., 100kgが1RMの子に90kgのスクワットを3回させる)のと、選手のキャパを超えたことをさせる(e.g., 100kgが1RMの子に90kgのスクワットを10回させる)のとでは、メロンとメロンパンぐらいの違いがあることも理解したほうがいいのかなと思います。

 

コーチの目線

では、コーチの目線から「追い込み」を見てみましょう。

おそらく、コーチが追い込みをさせる理由としては「練習で追い込まないと試合で勝てない」とか「気合が足りない」とか「疲れた時に技術を発揮できない」ということだと思います。

たしかに、自分をきちんと律する選手のほうが、そうでない選手よりも技術の向上が著しいのは明らかです。また、次の技術習得にむけて「何かにチャレンジする」というのはある種自分の限界を超えないとダメなので、そこはまぁなんとなく「気持ちが足りない」っていう言葉のニュアンアスは伝わってきますし、理解できます

 

S&Cコーチとしてみてみる

だけど、S&Cコーチという立場でそのトレーニングを見てみると、疑問に感じることが多いこともたしかです。例えばベンチプレスを用いた研究では、追い込むよりも追い込まないほうが筋力が向上すること(Pajera-Blanco et al., 2016)。さらに、追い込んでしまうと筋線維がタイプ2aから2bに移行してしまう可能性がある、ストレスホルモンが”余計”に分泌されてしまうことが明らかになっています(Izquierdo et al., 1985, Pajera-Blanco et al., 2016)。

持久系トレーニングを引き合いに出してみても、これまで大流行していたHIIT、いわゆる高強度間欠性トレーニングも、普通の持久トレーニングと比較してもあまり大差がないんじゃないか(VO2max, パワー発揮)ということも言われています(Foster et al., 2015)(時間的な節約はできる)。

技術トレーニングにおいても、疲労困憊で技術練習を行うと、その技術が体にしみこんじゃうんじゃないの?なんてことも思っています。

こんな背景があって、私自身、S&Cコーチとしての立場では「追い込むこと」の重要性があまりわからずにいます。気持ちが足りないんじゃなくて体が追っつかないから気持ちがついてこないんじゃないのかぁ、とか。

 

小、中学性に対して

最近ではSNSなどを懸念して、最初にあげた水泳教室のようなシゴきは少なくなりつつあると思います。だけど、まだまだ小、中学性に対して無理なシゴきを行う指導者もたくさんいます。しかも、そういう場合は大抵言葉による圧力が付きまといます。

「なんでできないの?」「なんでわからないの?」なんてことを言われても、その原因がわからず一番苦しんでるのが子供達本人なはずなのに。

スパルタ教育、指導と名の打った自己満足はもうやめてほしいですよね。以上、久保でした!