こんにちは。今回は今流行り(?)の主観的運動強度についてお話をしたいと思います。

主観的運動強度はよく「RPE」という呼ばれ方をしますが、これは「Rating of perceived exertion」の頭文字をとったものです。このRPEですが、臨床や研究の分野では最大酸素摂取量(Vo2max)を測定するときに用いられることが多く、その理由は後で説明しますが、自分も昔はVo2maxを測るときに使うもんなんだな〜くらいにしか思っていませんでした。

しかし、最近では「RPEって、トレーニングにも使えるんじゃね?」ってことで、それらを用いたトレーニングが広く行われているようです。

主観的指数

まずはじめに、「主観的運動強度」ってなんやねん。というお話をします。

主観的運動強度というのは名前の通り、その人が思った主観的な「きつさ」とか「辛さ」というのを示したもので、つまりは「ざっくり自分の状態はこんくらいですよ」というのが簡易的にわかる指数になっています。

下記に挙げるBorg Scale以外にはVAS(Visual analog scale)とかもあったりします。

Borg Scale

日本語では「ボーグ指数」とか「ボルグ指数」とか呼ばれ方をしますが、こちらは有名、というか開発者の名前を冠したな指数の名前です。

このBorg Scale、開発当初は0-20の21段階評価だったのですが、どうも他の測定値との相関性が見られない、ということで次に6-20の15段階のものが作られるようになりました。

「ただ数字が書いてあるだけじゃん」と思ったそこのあなた。違うんです。BorgScaleは現在のポイントに10を掛け合わせると現在の大体の心拍数が予測できるようになっていて、例えば13をさせば、それは大体130拍/分であるということになります。これが研究や臨床でこの指数が広く使われている理由です。ですが、あくまでも安静時を60、最大値を200とした時のものなので、過信しすぎはよろしくありません。

あとは心拍のドリフトなどは加味されていないので、そこまで行くと「心電図みようね」ってなっちゃいます。

修正Borg Scale

そしてさらにBorgさんはよりその指数をビジュアル的に簡易的にするために0-10段階の「修正Borg Scale」を作成しました。つまり「さっき5だったのに今が10ってことはさっきの二倍きついんだな!?」というのをわかりやすくしたんです。下に旧Borg scaleと修正Borg scaleを示します。

OMNI-RES010 scale

んで、Robertson et al.(2003)はそれをトレーニングにも応用できないかな?っていうことで「OMNI-RES010 scale」というものを作成します(上図参照)。このスケールは修正Borgスケール同様、0-10段階評価なのですが、一つ違うのは修正Borgスケールにある「0.5」がないので11段階評価であるということです。

このスケールの読み方は、「1段階づつに大体10%MVC(Maximum Voluntary Contraction)未満の力発揮をしている」となるので、10を示した場合「最大力発揮の約90%の力を出している」ということになります。

このOMNI-RES10 scaleを用いた研究は数多くされていて、バーベルの挙上速度と相関がありました。とか、疲労度と相関がありました、とか、%1RMと相関がありました。とかです。つまりは「RPEを用いたトレーニングをすることによって簡易的に目標別のトレーニングができる」ということです。

だけど、問題点もあります。

①性差が存在するかもしれない


過去の研究で「RPEには性差が存在するかもしれない」ということがわかっています。具体的には、トレーニング中は女性の方が男性よりも高値を示しやすい。とかです。

②エキセントリックを強調するか、コンセントリックを強調するかで値が違う


これも考えれば当然なのですが、どちらの収縮様式を強調するかによって値が変動するようです。特にコンセントリックを強調した場合、エキセントリックを強調した場合よりも高値を示すようです。

③「局所の疲労」なのか「全体の疲労」なのか


例えばスクワットをしていて「脚の疲れは?」と聞かれるのと「体の疲れは?」と聞かれるのとでは出す答えが違ってきますよね。そのことも過去の文献では指摘されています。

④「総仕事量」を合わせてもトレーニング重量で違う


例えば、100kg×1を5セットするのと、50kg×10を1セットするのとでは仕事量は同じですが、%1RMの割合が高いほどRPEは高値を示すことが明らかになっています。

⑤休憩時間の長さ


これは「まぁそうですよねー」ってなりますね。

まとめ

現在、かなり簡易的にトレーニングの疲労度をコントロールできるツールとしてRPEが流行っています。もともとは循環器系の臨床、研究用に開発されたRPEですが、現在ではレジスタンストレーニング用のものも開発されています。

その特徴として「スケールが1上がるごとに10%未満のMVCを示す」ということ、他の因子によって値が左右することがあるので、自ら使用する際、アスリートに使う際にはその辺の変数も気にしてみるといいかもしれません。

参考文献・HP

・「+医療従事者と患者の広場+

・Naclerio F, Larumbe-zabala E. Relative Load Prediction by Velocity and the OMNI-RES 0-10 Scale in Parallel Squat. J Strength Cond Res. 2017;31(6):1585-1591.

・Naclerio F, Rodríguez-romo G, Barriopedro-moro MI, Jiménez A, Alvar BA, Triplett NT. Control of resistance training intensity by the OMNI perceived exertion scale. J Strength Cond Res. 2011;25(7):1879-88.

・Morishita S, Yamauchi S, Fujisawa C, Domen K. Rating of Perceived Exertion for Quantification of the Intensity of Resistance Exercise. Int J Phys Med Rehabil. 2013, 1:9