みなさんこんにちは。久保です。

突然ですが、皆さんは1日が何時間かご存知ですか?そうです。24時間ですよね。

ですが、私たちの体内にはいわゆる”体内時計”というものがあって、外の時間とは切り離されたリズムで刻を刻んでいることが明らかになっています。その体内時計によると、文献によって幅は違いますが、だいたい約24時間10分〜25時間で1日のリズムを刻んでいることが知られています。これを「概日リズム(サーカディアンリズム)」といいます。

この”概日リズム”ですが、それを司る遺伝子が幾つも見つかっていて、それと食事を組み合わせて最適な摂食タイミングを提案しよう!とか、脂質代謝と結びつけて、最適な運動時間を提案しよう!といった動きがあるようです(時間栄養学、時間運動学)。

で、話を戻すと、勘の良い方はもうお気づきかと思いますが、私たちの1日の定義は「24時間」であるはずなので、日を重ねていくごとに体内時計と外部時間との相違が生じるはずですよね。

その中で起きてしまうのが「夜型生活」とか「朝型生活」とかいうやつなんですが、これは生理学的な反応で言うと当然といえば当然のことなんですね。だって、外と自分との時間がズレてるんですから。まどマギのほむらちゃんみたいに。

そういった中で2015年「じゃあ、夜型の人と朝型の人、はたまた中間型の人って最大パフォーマンスが発揮できる時間が違うんじゃないか?」という、素朴な疑問を検証した論文が出版されました。前置きが長くなりましたが、今回はざっくりとその内容をご紹介させていただきます。

方法とか

まず、筆者たちは20名のアスリートに対して「お前らの生活リズム教えろYO」という質問をします。この質問は質問紙を用いて行われたようです(RBUB質問紙、朝型夜型質問紙)。

ここで「その質問紙って妥当性あんの?」っていうツッコミが入りそうですが、現場応用をするのにはわざわざ時計遺伝子解析なんてしている時間ないでしょうし、一応朝型夜型質問紙なんかは多くの論文で使用されている方法でもあるので「現場に沿った方法なんだな」ぐらいに思ってください。

そして、アスリートに対して朝の7時から夜の22時まで、計6回のBeep test(文献内ではBLEEP TEST、心肺機能を測るヤツ)をさせて、パフォーマンスと時間との関係を調べました。

結果

言葉で説明するよりも図表を示したほうが早いと思うので、図表を示します。↓

この図表は計6回異なる時間にテストを行い図表にその結果をプロットした後に、それに対して回帰曲線を描いたものになっています。結果の図表はそれぞれA(全被験者)、B(朝型)、C(中間型)、D(夜型)の4つです。

見てわかる通り、朝型、中間型のグループは正午にパフォーマンスがピークを迎えています。ですが夜型の場合はがっつり夜のほうがパフォーマンスが高いことが明らかになりました。本文では「一番低い時と高い時では26%の差があった」と記されています。

さらに分かりやすいように、夜型と朝型&中間型を比較した図表をお示しします。↓

これを見てもおわかりのように、生活リズムによってパフォーマンスが発揮される時間帯は大きく異なっていますね。この原因として、深部体温とか分泌ホルモンなど、数多くの要素が絡まっていることが示唆されています。これらを挙げだしたらキリがないので、今回はそのメカニズムまでは取り上げません。

ここから言えること

オリンピックなどの国際試合で海外渡航を繰り返すアスリートはもちろんですが、毎朝決まったルーティンで練習をするアスリートも、試合期は重要な試合がある時間帯に合わせて生活リズムを調節したほうが最大パフォーマンスを得られるのではないでしょうか。また、論文内の文章を引用すると

「1%のパフォーマンスの増加は、2008年北京オリンピックの陸上100mで4位の選手が2位になることを意味する」

「1%のパフォーマンスの増加は、400m競泳、陸上400mの4位の選手が金メダルを獲得できる」

ということがいえるそうです(あくまでも概算)。

オリンピックなどの国際舞台でメダルを獲得するか否かは大きな待遇の差があるとも聞きますので、無視できない問題だと思います。もちろん、国内レベルの競技会も同様です。表彰台に上るか否かは選手にとって大きな問題ですよね。ですが、すべての競技者が試合に向けて起床時間を調節できるわけではないという課題があります(学校とか仕事の関係で)。

しかし、概日リズム(厳密には時計遺伝子)は摂食行動や日光を浴びること、運動によって動くのでは?何てことも言われているので、今後はそちらから何かしらのアプローチができそうです。

「できそうです」と書いているのは、僕がこの分野にそこまで詳しくないのと、この分野が発展途中であることなどが挙げられます。この「時間◯◯学」というのがスポーツの世界にはいってきたのはつい最近のことですし、最近また新しい時計遺伝子が見つかったりしたそうなので、これから発展が期待される分野と言えそうですね。2020年もありますし、もうすぐ平昌五輪もありますし。お寿司。

起床時間などの自己制御を変えるだけでパフォーマンスが上がるなら、もうやるしかないでしょう(できる環境なら)!なんて思ってしまうのですが、皆さんはいかがでしょうか。

参考文献

Facer-childs E, Brandstaetter R. The impact of circadian phenotype and time since awakening on diurnal performance in athletes. Curr Biol. 2015;25(4):518-22.