アスレティックトレーナーの西川です。

 

前回は多様性を鍛えることの重要性と体幹トレーニングの考え方について、簡単に話をさせていただきました。(前回の記事はコチラ

今回はこの考え方を踏まえて、私が選手に対して実践しているエクササイズを紹介したいと思います。

 

●基本形×変数=バリエーション(選択肢)

 

今回紹介する「基本形」は前回も紹介したプランクというエクササイズにしたいと思います。

そこに「変数」を掛け算することによって、「選択肢」作っていくことを私は大切にしています。

では、変数とは何でしょうか?

 

私が考える最も重要な変数は、「課題」と「環境」です。

課題に含まれるものとして、

・負荷(重力)をかける方向:前後、左右、回旋

・固定点と作用点(どこを止めて、どこを動かすか)

・動作速度:速いor遅い

・道具操作:器具の扱い

・動的or静的:動き(移動)を伴うor伴わない

・身体意識:どこに意識を向けるか、向けさせるか

・キューイング:指示(視覚的、聴覚的、言語的、触覚的)

 

環境に含まれるものとして、

・足(腕)がついている場所(例えば地面)は安定しているか不安定か

→(大きさ、幅、凸凹、固さ、滑るなど)

・予測可能or予測不可能

・規則的or非規則的

 

では実際にいくつかエクササイズを紹介します。

①サジタルプランク

開始姿勢

終了姿勢

方法

・手をついたプランクポジションからできる限り股関節を曲げる(写真:上)

→ポイント)殿部を天井につきあげるように:デッドリフトの動き

・股関節を最大に曲げたところから、骨盤を床に向かって落とし、胸椎(胸まわり)を伸ばす(写真:下)

→ポイント)腰は反らないように、肩甲骨を引き下げて、首を長く保つ

・写真上と下のポジションを交互にリズミカルに繰り返す

狙い

・矢状面(身体の前後)の安定性獲得(スクワット前などにオススメ)

 

②リアクティブ・シングルアームリーチプランク

 

開始姿勢

終了姿勢

方法

・合図(手を開いた側:視覚的、声・笛:聴覚的、右・左:言語的、触れた側:触覚的)に合わせて、できる限り素早く耳の横に片腕を伸ばす

→ポイント①)腕を伸ばした際に、背中の上に乗せたボールが転げ落ちないように体幹部を直線上に保つ

→ポイント②)慣れてきたら、体幹を直線に保つ意識は無意識にし、合図に対して早く反応することのみを意識する

 

狙い

・矢状面(身体の前後)+水平面(回旋に対する)の安定性獲得

・反射的に様々な課題(合図)に対して体幹を安定させる

 

③レジスティッド・プランク

方法

・基本形のプランク姿勢から、補助者にチューブなどで体幹をひっぱってもらう

→ポイント)はじめから体幹に力をいれているのではなく、チューブがひっぱられた刺激に対して、素早く反応して、バランスが崩れないようにコントロールする

狙い

・外力(非予測的/非規則的)に対する体幹安定性の獲得

・安定性の“ON”、“OFF”を切り替える

 

エクササイズの“形”自体はさほど新しいものではないかもしれませんが、「なぜこのような形になっているのか?」という背景をきちんと理解して取り組むことが極めて重要です。

エクササイズが形の模倣(形の練習)となってしまうと、実際にスポーツの中で必要な体力要素の向上には結びつかず、「トレーニングはできるようになってきたけど、実際のパフォーマンスは変わってないな〜」なんてことが起こってしまいます。

 

また、基本形というのはプランクのような基本種目という理解でもいいですが、もう少し掘り下げると「肢位」という考え方をしているので、

・臥位(ここにプランクが入ります)

・四つ這い

・膝立ち

・立位(ランジ、スクワットなどを含む)

・片脚立ち

 

などを基本形として考えています。

つまり、「立位」×「移動」となれば歩行ですし、ここに「速く」を掛ければランニングになります。さらに環境面で「凸凹」などを掛ければ、慎重に走るといったことになりますし、「予測不可能」「非規則的」などを掛ければ、相手選手の動きに合わせて動くような状況を想定することもできるので、このような考え方は体幹トレーニングに限ったものではありません。

 

つまり「運動」全般は、課題と環境に「自分」を適応させようとしている活動なので、課題と環境を考慮していないトレーニングやエクササイズだけでは、前述したように取り組んでいるエクササイズ種目が上手くなることはあっても、実際のパフォーマンスに結びつかないことが多くあります。(ということは、究極のトレーニングはそれぞれの競技の試合ということかもしれません。。。)

さらに、「運動」は「選択肢」でもあるので、ここの引き出しが多い選手ほど、どのような状況にも対応できる可能性があると言い換えることもできます。

 

また、「自分」をどのように感じて(知覚)、どのように処理(認知)するかによって活動は変わってくるので、原点である知覚が重要なポイントになります。

知覚とは、言い換えれば「感覚」ということになるので、ここにズレがあれば、どんなエクササイズを行っても、狙った通りの効果(活動)を得ることは難しくなりそうですね。。。

 

では、感覚を高めるためにはどうするべきか?

この辺りは次回、お話しさせていただければと思います。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。