スクワットには様々なメリットがあります。
・全身的な筋量増加&ストレングス強化
・特にポステリア・キネティック・チェーン(PKC)を効率よく鍛えることができる
・消費カロリーが非常に大きく、代謝アップ効果も高い
・心肺機能やメンタルも同時に鍛えられる...など。

一口にスクワットといってもいろんなバリエーションがありますが、今回はPKCを含めたより多くの筋肉を動員できるローバースクワットを中心に解説していこうと思います。

 

①バーを担ぐ位置
  

A ローバースクワット           B ハイバースクワット

図Aのようにバーを深めに担いで行うスクワットをローバースクワット、図Bのようにバーを高い位置に担いで行うスクワットをハイバースクワットと分類します(図① 参照)。ローバースクワットではお尻を後方に大きく引くかたちになるため股関節の屈曲(緑色の角度)が大きくなります。また支点である股関節と重心軸(赤線)の距離が長くなる傾向にあるため、ポステリア・キネティック・チェーン(脊柱起立筋、臀筋群、ハムストリングスなど)も強く動員できるようになります※
一方、ハイバースクワットでは膝関節の屈曲(青色の角度)が大きくなるため大腿四頭筋への刺激が強くなる傾向にあります。

図① バーを担ぐ位置(ローバースクワット)
出典「Starting Strength」 Mark Rippetoe著 2013  The Aasgaard Company発行

※ポステリアキネティックチェーン(PKC)とは?
臀筋群を中心とした身体の後面の筋群(脊柱起立筋群、臀筋群、ハムストリングスなど)は特にポステリア・キネティック・チェーンと呼ばれ、ジャンプしたり、押したり、引いたり数多くの動作の要となります。この筋群はそれぞれ連動して働くため、単独ではなく複合的に鍛えたほうが良いとされます。それらを最も効率よく鍛えることができる種目の一つがローバースクワットと言えるでしょう。

②足幅、足の向き

足幅は基本的には肩幅~肩幅よりやや広いくらい、つま先は10~30度くらい外側に向けましょう。つま先を外側に向けることでお尻の筋肉が使いやすくなります。

③軸

ローバースクワットでは基本的には土踏まずの真上に軸を置きます(ただし臀筋群など後面の筋肉を強く使う意識で行いたければ踵側に軸をもってくるとよいでしょう)。一方、ハイバースクワットやフロントスクワットのようにお尻を後方に引かないフォームでは踵に軸を置くとよいでしょう。担いだ段階でバーを軸の上に置いておき、軸の垂直線上をバーが上下するイメージで行います。

④腹圧
重さに負けないように体幹部を固めることを”腹圧をかける”と言います。息を大きく吸ってお腹にグッと力を入れます。腹を殴られる時に腹を固めるようなイメージです。このとき、腰が反りすぎても丸まってもいけません。脊柱のニュートラルなポジションをキープできるようにしましょう。
    

しっかり腹圧をかけて体幹部を固めておかないと姿勢をキープできずバランスを崩してしまったり、下半身の力をうまくバーに伝えることができななくなってしまいます。障害予防のためにもしっかり腹圧をかけて行うようにして下さい(図② 参照)。

図② 腹圧がかかっている状態
出典「Starting Strength」 Mark Rippetoe著 2013  The Aasgaard Company発行
脊柱起立筋群や腹筋群の収縮、腹腔~胸腔内部からの圧力によって脊柱がニュートラルなポジションに保たれていることがわかる。

⑤しゃがむ
いよいよしゃがむ段階に入ります。まずバーを担ぎ、軸を意識して腹圧をかけます(このとき、中臀筋の辺りに少し力を入れておくと軸がビシッと決まります)。

椅子に座るような感覚で、まずお尻を後方に引いてから真っ直ぐしゃがんでいきます。ローバースクワットの場合は膝があまり前に出ません(図③ 参照)。

図③ 膝が前に出ない場合と出る場合
出典「Starting Strength」 Mark Rippetoe著 2013  The Aasgaard Company発行
上図がお尻を後ろに引いて膝を前に出さない場合。下図がお尻を後ろに引かずに膝を前に出す場合。お尻を後方に引かずに膝が前に流れると大腿四頭筋優位になりやすい。

  

可能であれば股関節が膝関節より深くなるまでしっかりしゃがみましょう。このとき骨盤が後傾しないように注意して下さい。ここまでしゃがみこむことでお尻を中心としたPKCが引き伸ばされより強い力を発揮することができます(※SSCの利用)。しゃがむ際は膝を少し外へ開くよう力を入れておきましょう。こうすることで両脚の間に骨盤を落とすスペースができるので深くしゃがみやすくなります。また臀筋群のテンションを保ちやすいというメリットもあります。

※SSCとは?
SSC(Stretch-Shortening Cycle)とは、筋肉が強くかつ素早く引き伸ばされた時により強い力を発揮できる機能のことを言います。例えば、一度しゃがみこんだところで静止してからジャンプするより、しゃがみこんだところから一気にジャンプする方がより強い力を発揮することができます。

スクワットではこのSSCが利用できるため、デッドリフトよりも効果的にPKCを鍛えることが出来ると言えます。

⑥立ち上がる

立ち上がる時はお尻を真上に爆発的に持ち上げます。こうすることで股関節を意識的に強く伸展させことができ、PKCも強く使うことができます。また、お尻を上げると同時にしっかり胸を起こす意識を持ちましょう。胸を起こすタイミングが遅れてお尻が先に立ち上がりすぎると腰に大きな負担がかかってしまいます。軸の上に重さを乗せながら、足裏の踏圧が抜けないように地面を強く蹴り抜きましょう。

 

今回の解説ではMark Rippetoeの名著、「Starting Strength」という本を参考にしています。基本的なバーベルトレーニングに関してこれ以上ないくらい詳しく解説されているので興味がある人は是非読んでみてください。