“正しいフォームでトレーニングしましょう”とはよく言いますが、トレーニング、特に高重量を扱う際はフォームに辿り着くまでの動きも重要になってきます。

どういうことかもう少し掘り下げてお話すると、例えばフォームを組むまでの動き、ラックアウトしてから動作がスタートするまでなど、その種目そのものではなく、フォームを完成させるまでの動きも含めで考えていく必要があるのです。

今回は、メジャーな2種目であるベンチプレスとスクワットを例にとって考えてみたいと思います。
ー ルーティンを考える

ベンチプレスやスクワットのフォームを組む際、人それぞれのルーティンがあります。

何が正しいか、ではなく、どれだけ精度をあげていけるかがポイントになり、その工程がより複雑であるほどフォームの再現性が低くなってしまいます。

毎回パッと理想のフォームを組むことができれば再現性も必然的に高くなりますが、フォームができあがるまでにやることが多ければ多いほど少しずつズレがでてしまう可能性があります。

もちろん簡単な話ではないのですが、トップリフターになればなるほど一連の流れがスムーズであり、無駄がないなと見惚れてしまうものです。

逆に言えば、これだと思うフォームがある程度かたまってくれば、今度はそのフォームを作るための工程をどんどんカットしていくことで精度を高めていく必要があります。
ー ベンチプレス

ベンチプレスについて考えてみましょう。

ベンチプレスでは主にアーチの作り方がイメージしやすいと思うのですが、これは本当に多種多様です。

ベンチ台の上に足を起き高いブリッジを作ることから始める方や(私もこのパターンです)地面に足をついた状態からでもブリッジが作れる方、軽く上体をセットするだけでフォームが完成する方などたくさんのパターンがあります。

 

私自身、最も長く時間をかけてフォームを作っていた頃は…

・ベンチ台の上に足を乗せアーチをつくる

・左右の肩甲骨を交互に3回ずつ寄せる

・体をバーの下まで滑らせる

・片脚ずつ地面につき踏ん張り直す

・さらに肩甲骨の内転を強くする

・大きく息をすってラックアウト

 

と、ざっと書いてもこれだけの工程をおこなっていました。

特に左右の肩甲骨を交互に寄せていたため、フォームの再現性が低く、ハマれば強いしズレると違和感が凄いといった状態でした。

その後、フォームが完成した時点で何ができていれば良いのかを整理し、以下の項目を重視することにしました。

 

・肩甲骨は内転ではなく下制させ遊びを持たせること

・胸郭が高くなること

 

これらを達成するために

 

・ベンチ台の上に足を乗せアーチを作る際に頭側に滑りながら同時に肩甲骨も下制させる

・両足を地面についてもう一度アーチを作り上体を決める

・大きく息をすってラックアウト

 

まで流れを絞ることができました。

このようにフォームを作る工程をカットしたおかげで、フォームを組むまでの時間が短縮できたうえに再現性が高くなってきています。

今のフォームを組むために本当に必要な動作は何か?ということは、追求する材料としては非常に価値のある部分です。

 

また、ラックアウトしてからバーを保持するところまでの距離が長い方をよく見かけます。

ラックアウトも最小限の動きで終わらせることで余計な負担を減らすことができます。

これは、ラックの高さと、ラックとラックアウトしてからのバーの移動距離をできる限り小さくすることで解決できる問題です。

普段何気なくやってしまいがちですが、この辺りも一度見直してみてはいかがでしょうか。
ー スクワット

スクワットで最もロスがうまれやすいのは、ラックアウトしてからのバックステップではないかと思います。

私もかなり苦手であり、未だにバックステップに無駄があるためバーがかなり暴れてしまいます。

特に高重量になると顕著で、上下のバーのしなりに加え前後左右にもブレてしまいます。
このブレがおさまるまでしゃがめないので、単純に担ぎ続けるだけでも負担になっています。

理想のバックステップは左右1歩ずつ下がった時点で足位置が決まっていることですが、これが本当に見事なのが我らがSGメンバーのリラックマン氏のスクワットです。

デッドリフトも日本一美しいフォームと賞賛される彼の試技は本当に無駄がありません。

いつか動画をアップしてもらいたいものですが、左右1歩ずつ下がった時点でしゃがむまでの準備が完成しています。本当に理想的です。

ベンチプレスも同じですが、この移動距離が長ければ長いほど、また、前後左右に動けば動くほどバーも暴れてしまいます。

小さな動きのロスで大きな負担がうまれてしまうことを避けるためにも、どれだけ無駄な動きを省けるのかは本当に重要な要素なのです。
ー まとめ

強くなるためには何をするのか、がとても重要ですが、同時に何をしないのかも重量な要素です。

特に、フォームを作るまでの段階でどこかに歪みがでてしまうとまた一から組み直すことになり、余計な負担になってしまいます。

理想だけ言えばスッとフォームに入りたいものですが、現状のフォームで何ができている時に感覚がよく、そのためには何をすべきかを整理することで無駄が省けるのではないかと思います。

フォームを変えること自体は非常に困難な作業ですが、そこに辿り着くまでの工程はできるだけシンプルにすべきです。

皆様の記録向上に少しでもお役に立てれば幸いです。