こんにちは。久保です。

今回はトレーニングの紹介ではなく、筋トレがエネルギー代謝、身体組成に及ぼす影響、またはそれに伴うお話をしてみたいと思います。どっちかというとボディメイクや体重別のアスリートにとってのお話になると思います。がっつり専門分野というわけではないので、片手間に読んで「へー」と思って頂ければ幸いです。

3/1日:追記

はじめに断っておきますが、この記事は筋トレを否定するものではなく(僕は根っからの筋トレ肯定派です)、筋トレを「競技者以外(特に筋トレが嫌いな人)」に処方する場合に「痩せるだけならトレッドミルを走らせればいいのに、なんでわざわざ筋トレをやらせるんだろう?」ともう一度立ち止まってその理由を考えてみてほしいとの想いで書いています。

また「骨格筋単体」が代謝に与える影響に話を絞って書いてあるので、EPOCとか、その他の生理学的反応の話は書いていません。ご了承お願いいたします。

筋トレをすると基礎代謝が上がって痩せる?

ジムで「筋トレをして、筋肉をつけて基礎代謝を上げて痩せる体になりましょう!」と言うことを言われたことはありませんか?また、今ジムやサロンで働いている方は、クライアントに対して言っていませんか?

この言葉、なんとなくそれっぽいし、筋トレをするためのモチベーションの一つにはなると思うのですが、大きく2つ間違っている部分があります。

基礎代謝を上げても痩せない

基礎代謝だけを肥満の要因だと考えた時に、基礎代謝の低い人と高い人では長期的に見た時の脂肪量やBMIには有意差がないことが報告されています(Anthanont et al., 2016)。また、基礎代謝は年齢によって低下し、体温によって上下しますので、筋トレと基礎代謝を直接結びつけるのはあまりいい方法とは思えません。

 

そもそも、筋肉はそれほど基礎代謝を上げない

厚生労働省のHPによると、骨格筋が1kgあたりに消費するカロリーは1日あたり13kcalです。つまり、頑張って筋肉を1kgつけても、ガム一粒食べてしまえばその分の代謝量は相殺されてしまうことになります。さらに、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine : ACSM)の公式見解によると

「Resistance training will not promote clinically significant weight loss.」(レジスタンストレーニングは臨床的に有意な体重減少を引き起こさない)

ということが述べらており、筋トレでつけた筋肉にダイエット効果を見出すのは難しそうです。

筋トレが痩せるメカニズム

ですが、経験的に筋トレを継続的におこなっている人たちは肥満でもないし、健康的な体重、体型を維持していることを私たちは知っています。その要因として

「筋トレが習慣になる→『筋トレ』による生理学的変化が起こる→痩せる、あるいは健康になる」

というメカニズムがあるのではないかと私は考えています。さらに最近では「急速に減量をした方がその後の体重増加リスクが減る、または徐々に減量を行う場合と有意差がない(つまり、急速減量した方がリバウンドしにくい)」という報告もあります(Nackers et al., 2010)。なので、私たちトレーナーは自らの体のみならず、今一度知識の見直しを図り、その中で「どうして筋トレをする必要があるのか?」を説いていった方がロジカルな気がします。

追記

国立スポーツ科学センターの山下大地さんの論文がJournal of Strength and Conditioning Researchに掲載されたようです。僕自身山下さんのことをずっと一方的に知っていて、ついにNSCA国際カンファレンスの時にお話しすることができた、僕の尊敬する研究者の中の一人です。オープンアクセスなので、以下のリンクからDLしてぜひ一読してみてください。

Physical characteristics and performance of Japanese top-level American football players.